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【反論】ジパングカジノ「日本の報道は越権行為」「海外の合法サービスを摘発するな」WTOを持ち出した異例の通知を行った過去

海外カジノが逮捕報道に反発|ジパングカジノが示した「通知文」の正当性とその限界

2016年3月10日、日本国内からインターネットを通じて、海外オンラインカジノ「スマートライブカジノ」で現実の金銭を賭けて遊んでいた3名の日本人ユーザーが、京都府警によって賭博容疑で逮捕されました。

この報道を受け、当時運営されていた別のオンラインカジノサイト「ジパングカジノ」は、日本語で以下のような通知文を発表した過去があります。

お客様各位
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
拝啓

いつもご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

弊社カジノブランドである、ジパングカジノ、ラッキーベイビーカジノ及び、
カジノジャンボリーより、現在オンラインカジノに関連する報道について
ご不安に感じるお客様もいらっしゃるかと存じますので、
下記の通り弊社よりの見解としてお知らせいたします。

- 決済サービス業者からの逮捕者

弊社ブランドにて契約していた決済サービス業者からの逮捕者については、
犯罪資金移転防止法違反で起訴、その後理由は分かりかねますが
賭博罪として再逮捕されたとの情報がございました。

この決済サービスに関しましては、弊社が委託する外部ファイナンス会社との契約によって、
決済業者がサービスを提供していたものであり、
業者が直接的に賭博を開帳していないにも関わらず、賭博罪の適用を
目標としており、報道の内容も少し誤解を生みやすいと感じられました。

当カジノに関する運営は全てフィリピンのマニラ市内で行われており
フィリピンでのカジノ法令に遵守して行っております。
なお、日本の法律にて賭博に関する法は属地主義となり日本国外での事象は適用外となります。

*属地主義とは、法令の適用範囲に関する立法主義。日本国内のみ適用、国外には適用されない。
逆の意味で属人主義があり、自国民による犯罪に対して犯罪地を問わず自国の刑法を適用するものがある。

決済業者がどのような経緯で賭博罪での逮捕になったのか不明ではございますが
カジノに関する全ての運営は上でも述べた通り、フィリピン国で行われており
今回の報道に関しては疑問を感じる部分もございます。
ただ、決済会社が弊社外の提携機関ということもあり
積極的な介入や関与はできないところが現状でございます。

- オンラインカジノ(他法人)遊戯での逮捕者

他のオンラインカジノ様でのご遊戯にて逮捕者が出ている事についてでございますが、
公開されている情報を精査すると、特定方向への誘導も感じられる部分もあり、
また逮捕=有罪(推定有罪)が全面的に押し出されている感があるかと存じます。

また現行法にて、オンラインカジノとして明確に定められていないと思われる状況下では、
属人主義ではない賭博法の適用に疑問を感じるところであります。

この一連の件に総じて言えることでは有りますが、
報道の文章から見る限り、現在日本の刑法で制定されている賭博法の解釈に当てはめる事は難しく、
罪刑法定主義として禁じられている、類推解釈、拡大解釈の可能性があるかと考えております。

報道で出ているカジノが私どものブランドではない弊社として、今回行動を起こすことはできませんが、
今後、弊社ブランドでの遊戯にて登録者が逮捕され、それが弊社ブランドと共に公表されることがあれば、
貿易上の不公平を訴え、弊社保有ライセンス国を通じWTO(国際貿易機関)に問題提起することを考慮し、
また名誉毀損にて当該国裁判所に向けて提訴する事も吝かではありません。

弊社はフィリピン国が定めるカガヤン経済特区発行の
正式なライセンスを保持すると共に、外部機関からの明瞭な経営が必要となる、
イギリス国マン島のライセンスなどを保有、加えて
イギリスプレミアリーグ、サンダーランドのメインスポンサー、エバートンの公式ベッティングパートナー、
過去有名日本選手が在籍したスコットランドプレミアリーグ、セルティックFCの公式ベッティングパートナーであり
日本の法律よりはるかに厳しいスポンサー採用基準をクリアしております。

国際最高レベルの条件をクリアしている状況下、国際基準を無視して企業イメージを損なう行為があった場合
法令に基づき対応を取る事も視野に入れなければならない状況になる可能性もございます。

ともあれ、弊社プロダクトにご登録いただいておりますお客様には、
少なからずご不安と、ご不便をお掛けしている次第ではあります。
今後、弊社プロダクトでのご遊戯につきましてご質問があるかとは存じます。
下記の特設アドレスにて、ご質問をお受けいたしましたら、弊社法務部より返答いたしますのでご活用くださいませ。

leg***@zipangcasino.com

(多くのお問い合わせが来ることが予想されますので、返答まで時間がかかる場合もございます)

私共は、今後も変わらぬスタンスにて事業を展開してまいります。
日本国の司法が明確な判断を出せるかどうかに期待すると共に、
ご登録いただいておりますお客様が、安心してご遊戯いただける
環境を提供できますよう、引き続き努力してまいります。

敬具

この通知文は、日本の報道機関が描く「オンラインカジノ=違法」のイメージに対して、運営側が公式に反論したものであり、ある程度の正当性を持つ内容といえます。

属地主義と罪刑法定主義を根拠とした反論

ジパングカジノは、運営拠点がフィリピン・マニラにあり、現地のカジノ規制に従って合法的にライセンスを取得していると説明しています。また、イギリス・マン島からの認可やプレミアリーグのスポンサー実績を挙げて、国際的にも高水準のコンプライアンスを満たしていると主張しています。

これに対し、日本の刑法は基本的に「属地主義」を採用しており、日本国外で行われた行為について、日本の刑罰法規を適用することには原則として限界があります。通知文ではさらに、賭博罪の構成要件が明確でないまま摘発だけが先行している現状に対して、罪刑法定主義の原則に反する「類推適用」や「拡大解釈」がなされているのではないかと指摘しています。

肯定できる論点:制度不備の中での摘発に対する警鐘

通知文には感情的・挑発的と取られかねない表現も含まれていますが、少なくとも「制度が整っていないのに摘発だけが先行する」という批判には、耳を傾ける価値があります。

特に、今回のように報道では逮捕という強制処分の事実だけが強調され、その後不起訴となった経緯や刑事処分の結果については一切報道されないという構造に問題があります。

これは、実態が「不起訴=法的に犯罪が立証できなかった」ケースであっても、報道によって一方的に「犯罪者の烙印」を押されてしまう危険をはらんでいます。通知文は、このような「報道の片面性」に対する一つの反論でもあります。

限界と課題:現実的な影響力は限定的

もっとも、ジパングカジノ側が通知文で示した「WTOへの提訴」や「名誉毀損による裁判」は、実効性の面では疑問が残ります。WTOが個別の刑事法執行を争点とする紛争を扱うかどうかは不明確であり、国際私法上のハードルも存在します。

加えて、日本政府や捜査機関がこのような抗議に応じた形跡はなく、現実的にはオンラインカジノ運営者側の一方的な声明に留まった感は否めません。

結論:制度不備の中で報道と処罰だけが進む異常事態

本件は、単なる「一運営者の抗議声明」として片付けるには惜しい、いくつかの重要な論点を内包しています。特に、オンラインカジノという新しい業態に対して、法整備もないまま、運用と報道だけが先行してしまう日本の現状は、国際的にも整合性を欠くものです。

制度が未整備なまま、個人ユーザーだけが処罰され、そしてその処罰が報道されるが、不起訴や無罪などの処分結果はほとんど報じられない。このような「片面報道」と「処罰ありきの捜査姿勢」は、健全な法治国家にふさわしいとは言えません。

私たちは、賭博罪の在り方や、その適用範囲について、もっと冷静で透明な議論を進めていくべき時期に来ているのではないでしょうか。

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