【事件秘話】個人のオンラインカジノ利用者はどうやって割り出されたのか?スマートライブカジノ事件の舞台裏を追う

スマートライブカジノ事件とは何だったのか
2016年初頭、日本国内で初めて無店舗型オンラインカジノの個人利用者が逮捕された事件が報じられた。捜査を担当したのは京都府警サイバー犯罪対策課であり、対象となったオンラインカジノは「スマートライブカジノ」(Smart Live Casino)であった。
逮捕されたのは、関根健司(65歳、埼玉県越谷市の制御回路製作会社経営)、西田一秋(36歳、大阪府吹田市元町、無職)、中島悠貴(31歳、埼玉県東松山市のグラフィックデザイナー)の3名である。彼らはそれぞれ自宅などから、英国法人が運営し、イギリスとマルタ共和国の国際ライセンスを取得したスマートライブカジノのサーバーに接続し、ブラックジャックを中心とした賭博行為を行ったとされる。
同カジノは登録制であり、日本語版ページには日本人女性のディーラーが登場し、チャット機能を用いてリアルタイムでコミュニケーションを取りながらゲームが進行する特徴がある。賭け金の支払い及び払い戻しはクレジットカード決済などを介して行われていた。
関根容疑者は供述で「1,000万円ぐらい使った」と語り、3人とも容疑を認めたうえで「海外のサイトなら大丈夫だと思った」と話している。
本件は、個人宅から無店舗型オンラインカジノを利用したプレイヤーが摘発された国内初の事例として注目された。事件の報道は毎日新聞、京都新聞、読売新聞、産経新聞、時事通信などの大手メディアが取り上げている。
摘発の原因は意外なところにあった
しかし、この事件で特筆すべきは、京都府警が高度な捜査技術を駆使して摘発に至ったわけではない点である。実際には、摘発の決め手となったのは、利用者自身が自らのオンラインカジノでのプレイ履歴や賭博行為の証拠をインターネット上に公開してしまったという何とも間抜けな事情であった。
摘発されたプレイヤーたちは、ブログやSNSなどで賭博行為の詳細を晒し、さらには賭け金の履歴や勝敗の記録を公開していた。この公開された情報をもとに捜査当局は摘発に至ったのである。
この点は、スマートライブカジノ事件が単なる違法行為の摘発にとどまらず、現代のデジタル社会における「自己開示の危険性」を象徴していると言えるだろう。利用者自身が証拠を差し出した結果、逮捕という結末を招いたのである。
この事件から得られる教訓は、オンラインカジノなどの賭博行為を行う際には、自らの行動をインターネット上で不用意に公開しないことの重要性にほかならない。過信や軽率な情報発信は、思わぬ法的リスクを招く可能性がある。
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